【笠・かさ】
笠は頭上に被る道具です。古くは高貴な人物の頭上を守る蓋(きぬがさ)で、古墳時代の遺跡からは笠形木製品が出土しています。 古来より笠には神が降臨し、依代となる特別な物品として認識されていました。笠という文字が「竹」と「立」という二つの文字から成るように、笠は祭祀で用いる斎竹と同じ意味を持っています。 高橋という名字に特徴的に多く見られる家紋ですが、元々高橋という名字が、「高く立てた階(きざはし)」を意味し、天と地を結び神を降臨させるために立てた竹を表しています。ですから高橋という名字と笠の家紋は同じ意味を持っているのです。笠が竹笹紋と共に描かれることが多いのも、そこに理由があります。 やがて時代や被る人物によって様々な形の笠が作られ、家紋も複数の種類の笠があります。市女笠や唐人笠も家紋になっています。 武家では剣豪の家として有名な大和国の柳生氏が二蓋笠(にがいかさ)が有名です。これは柳生宗矩(やぎゅう・むねのり)の古くからの友人であった坂崎直盛の家紋で、直盛が死に臨んだ時に譲り受けたものと伝えられます。紐を結んだ笠は手を結びあの世に旅立つ直盛自身であり、紐を解いた笠はしばしこの世に滞留する宗矩を表すのだとも伝えられます。分布は高橋姓の分布と重なり東日本に多く、関東地方以北、特に東北地方に色濃く見られる家紋です。 |