【矢・や】
矢は遠くにいる標的を倒すための武具です。人類の歴史の中で数万年も前から狩猟に用いられて、現代の我々に続く命の糧を得てきたのです。道具としての矢は、先端の矢尻、柄の部分を矢柄、軌道を安定させる矢羽、矢を弦に番(つが)える矢筈(やはず)の四つの部分から構成されています。 日本では、平安時代から鬼門を守り悪鬼を払う呪術の道具としても用いられています。つまり矢紋は戦いに勝ち抜く尚武的な意味を持つ家紋であり、なおかつ信仰的意義を持つ家紋でもあるのです。そして矢に関する家紋には、矢尻、矢羽、矢筈をそれぞれ単独で描いたものと、矢の全体像を描いたものがあります。しかし矢筈紋はいつの間にか矢羽根を単色で塗りつぶしたものを呼ぶようになってしまいました。 矢紋は鎌倉幕府侍所別当の梶原景時一族で用いられました。また清和源氏頼光流太田氏、矢車紋は伊賀国より興った服部氏族、矢筈紋は清和源氏頼光流能勢氏が代表家紋としています。また苗字が弓や矢に関連する氏に使用が多いようです。 |