「四天王」について

密教の宇宙観の象徴的なものに須弥山(しゅみせん)という山があります。

それによれば世界は風輪、水輪、金輪という途方もない大きさの円盤が重なった上に 須弥山という山が立っていて、山頂には帝釈天を始めとする三十三の仏尊が住んでいるといわれています。

その高さは180万キロメートルあり、そのはるか上空には何層にも渡って如来や菩薩の住む「天界」があります。


人間界は須弥山の裾のにある「閻浮堤(えんぶだい)」という島の一つにあり、 その地下には「八大地獄」が待ち受けています。

この密教的宇宙観の象徴である「須弥山」が100億集まって1枚の蓮華葉となり、 1000枚の蓮華葉からなる蓮華台に毘盧遮那仏(大日如来)が座しているという、 人智を超えたスケールの世界なのです。


その須弥山の中腹で、帝釈天の部下として、須弥山の東西南北4つの門を守ると言われているのが「四天王」です。



北倶盧洲(ほっくるしゅう)を守る 多聞天(毘沙門天 ベイ
東勝身洲(とうしょうしんしゅう)を守る 持国天 ヂリ
南贍部洲(なんせんぶしゅう)を守る 増長天
西牛貨洲(せいごかしゅう) を守る 広目天 ビー


古来より4強を意味する言葉でもあり威厳ある武人の姿である四天王は、 金剛杵(ヴァジュラ)を手に持ち、邪鬼(天邪鬼)を踏みつけたその姿は、 すべての邪悪な者を打ち負かすと言われています。

日本でも古来より各地で「四天王像」が作られ、如来や菩薩を守る守護神として崇められてきました。

東大寺戒壇院や法隆寺金堂の四天王像は、現存する最古の作例として有名です。